エンタメを通じた世論形成

エンタメを通じた世論形成

 

「総論」

エンタメを通じた世論形成の陰を最近感じるので書くことにした。

「定義」

「エンタメを通じて何らかの価値観などを社会に定着させようとすること」とする。

(エンタメ:映画、ドラマ、漫画、ゲーム、音楽など)

 

・エンタメは人々の価値観や社会的な意識に影響を与える力を持っている。

・エンタメを通じた世論形成は意図的に行われている可能性が高い

・エンタメを通じたプロパガンダは、一般的なプロパガンダよりわかりにくい事が多い

 

 

「エンタメを通じた世論形成のポイント」
1.感情に訴えかける
 エンタメは論理ではなく感情を動かす。

 例えば、環境問題を扱ったドキュメンタリーよりも、

 環境破壊に立ち向かうヒーロー映画のほうが、多くの人の心に残ることがある。

2.物語による共感の誘発
 現実の社会問題や思想をストーリーに織り交ぜることで、視聴者・読者は登場人物の立場になって考えるようになる。例えば、『進撃の巨人』は単なるバトル漫画に見えて、実は戦争、差別、自由などのテーマを深く掘り下げている。

3.ポップカルチャーと社会運動の結びつき
 ハリウッド映画やアニメ、音楽などはしばしば社会的なメッセージを含む。『ブラックパンサー』は黒人文化とヒーロー像を結びつけ、SNS上で大きなムーブメントを生み出したし、日本でも『シン・ゴジラ』が官僚主義や災害対応の問題を描いて話題になった。

4.繰り返しによる刷り込み
 同じテーマが繰り返しエンタメの中で扱われると、それが「当たり前の価値観」として浸透しやすい。例えば、ジェンダー問題がテーマの映画やドラマが増えることで、視聴者の意識も変わっていく。

5.キャラクターを通じた影響力
 有名キャラクターが特定の価値観を象徴すると、その価値観が広く受け入れられやすい。例えば、ルフィ(ワンピース)の「自由」へのこだわりや、キャプテン・アメリカの「正義」の姿勢は、それぞれの社会で重要なテーマを示している。

 

冷戦時代のハリウッド映画はソ連を「悪」と描く物が多かった


無意識レベルで繰り返し刷り込まれると、世論形成を超えて「社会洗脳」とも言える状態に至ることがある。

特定の価値観や行動を当たり前と思わせることで、

人々の意思決定を間接的にコントロールすることに繋がる。

 

① 繰り返しによる刷り込み
→ 「見慣れたものが正しいと感じる心理」(単純接触効果)

メディアが特定の価値観を繰り返し表現すると、それが「普通のこと」として受け入れられるようになる。
例:ハリウッド映画における「アメリカ=正義」の描写、ディズニープリンセスによる「理想の恋愛」観の刷り込み。

 

② 物語を通じた感情のコントロール
→ 「フィクションが現実の認識を変える」(ナラティブ・トランスポート効果)

人間は理屈よりもストーリーに強く共感する。
例:環境問題を直接訴えるよりも、

  感動を伴ったストーリーのほうが影響を与えやすい。

 

③ 権威やカリスマの利用
→ 「好きなキャラや俳優の意見=正しい」(ハロー効果)

人気キャラクターや芸能人が特定の価値観を発信すると、それが正しいと思われやすい。
例:ハリウッド映画に登場する科学者キャラが特定のイデオロギーを強調すると、視聴者も影響を受けやすい。

 

④ エンタメとリアルの境界の曖昧化
→ 「フィクションを現実の理想形と誤認する」(メディア依存効果)

ドラマや映画が作る世界観が現実の理想とされ、現実世界もそれに合わせるべきだと思うようになる。
例:恋愛ドラマが「恋愛しないと幸せになれない」という価値観を作る。

 

「エンタメによる世論形成の具体例」
1. 戦争プロパガンダとしてのエンタメ
第二次世界大戦中のディズニー映画『Der Fuehrer's Face』など、敵国を悪魔化するアニメが制作された。
例:ハリウッド映画の戦争もの(『トップガン』など)は、アメリカ軍のイメージ向上に利用された。

・冷戦期のアメリカ映画はソ連を「悪」と描きやすい

 

2. 消費文化の形成
例:ディズニープリンセスの影響で「結婚=幸せ」という価値観が広まり、それが結婚式ビジネスにつながる。
例:90年代の恋愛ドラマ(『東京ラブストーリー』など)が「ブランド物を持つのがカッコいい」という価値観を拡散し、消費を促した。

 

3. ポリコレとエンタメ

 

① 戦争プロパガンダとしてのエンタメ
目的:敵国の悪魔化、自国の正当化、兵士や国民の士気向上

第二次世界大戦中のディズニー映画(米国)

ソ連プロパガンダ映画(ソ連
→ 『アレクサンドル・ネフスキー』(1938年)は、ナチスドイツを倒すべき敵として描き、後の独ソ戦への国民感情を高めるのに利用された。

ハリウッドとアメリカ軍(現代)
→ 『トップガン』(1986年)はアメリカ海軍と協力して制作され、上映後に海軍への志願者が急増した。
→ 『アメリカン・スナイパー』(2014年)は戦争を英雄的に描き、アメリカの軍事介入を肯定する論調を補強した。

 

 

② 消費文化の形成
目的:購買意欲の刺激、特定のライフスタイルの定着

ディズニープリンセスと結婚観
→ 『シンデレラ』『美女と野獣』『リトル・マーメイド』などの影響で「真実の愛=結婚」という価値観が根付き、結婚式産業や高額な婚約指輪文化が拡大。
→ 逆に、近年は『アナと雪の女王』のように「自立した女性」を推奨する作品が増え、従来の価値観を修正する動きも。

90年代日本の恋愛ドラマとブランド信仰
→ 『東京ラブストーリー』(1991年)や『ロングバケーション』(1996年)などが、「おしゃれな恋愛=高級ブランド&おしゃれなデートスポット」という価値観を植え付けた。
→ その影響で、ルイ・ヴィトンティファニーのアクセサリーが恋人への贈り物の定番になり、消費を煽る結果に。

ファッションとメディアの洗脳
→ 『Sex and the City』(1998-2004)が「ブランド物を持つ=洗練された女性」という価値観を広め、ハイブランドの靴やバッグが女性の憧れに。

 

 

③ ポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)とエンタメ
目的:社会的価値観の変化の促進、特定の思想の普及

ディズニーの多様性路線
→ 近年、『リトル・マーメイド』(2023年)の実写版で主人公を黒人女性にするなど、「多様性」を意識したキャスティングが増加。
→ これにより、ポリコレに適合した価値観が「当たり前」になりつつあるが、一方で「不自然な変更」と反発する層もいる。

ハリウッド映画のLGBTQ+推進
→ 『ブロークバック・マウンテン』(2005年)は、ゲイカップルのラブストーリーを真正面から描き、当時タブー視されていたLGBTQ+を一般社会に広めた。
→ 『アベンジャーズ』や『スター・ウォーズ』シリーズでは、サブキャラにLGBTQ+のキャラを入れることで、多様性を押し出している。

 

 

フェミニズムとエンタメ
目的:ジェンダー意識の変化、女性の社会的役割の転換

ハリウッドの「強い女性」像の押し出し
→ 1990年代までは『007』シリーズのように「男性ヒーロー+セクシーな女性」の構図が主流だったが、2000年代以降は『ハンガー・ゲーム』『ワンダーウーマン』のように女性が主役のアクション映画が増加。
→ これにより「女性も戦える」「女性は守られるだけの存在ではない」という価値観が定着。

日本アニメとフェミニズム
ジブリ作品(『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』など)は、強い女性主人公を描き、日本のジェンダー観にも影響を与えた。
→ 逆に『エヴァンゲリオン』のように女性キャラが「男性を支える」構図のアニメも多く、フェミニストからは批判されることも。

 

 

⑤ 価値観のコントロール(社会問題の印象操作)
目的:特定の政治思想や価値観の広まり

コンテイジョン』(2011年)とCOVID-19
→ この映画はパンデミックをリアルに描いたが、COVID-19流行時に再評価され、「ワクチンが最終的な解決策になる」というメッセージが強く伝わった。
→ これにより、「ワクチンを打つことが当然」とする世論の形成に寄与したとの指摘も。

Netflixの社会派ドキュメンタリー
→ 『Social Dilemma』(2020年)はSNSの危険性を描き、視聴者に「テクノロジー企業は悪」と思わせる方向へ誘導。
→ 『Seaspiracy』(2021年)は漁業の環境破壊を強調し、「魚を食べることは悪」と印象付けた。

 

 

 

「例」

アメリカのドラマではゲイやレズビアンの登場する確率がとても高い。

やさしい猫NHK不法入国者擁護ドラマ

・東京サラダボウル:こういう形でストーリーの中に主張を織り込んでいく。                 自然と洗脳することができる。

 

 

 

 


「その他」

見えにくい文化戦争が起きてる。彼らは自分たちのイデオロギーをエンタメやメディアや教育を使って社会に浸透させようとしている(陰謀論的思考なのは分かってる)

「参考」

ストーリーが世界を滅ぼす――物語があなたの脳を操作する

西洋の自死: 移民・アイデンティティ・イスラム

大衆の狂気 ジェンダー・人種・アイデンティティ